日本人の夫と離婚・死別したときの在留資格|届出と定住者
公開 2026-10-25
この記事では、日本人の夫と離婚したときや、夫が亡くなったとき(死別)の在留資格について説明します。 結論から言うと、離婚・死別しても、在留資格がすぐになくなるわけではありません。 ただし、14日以内に入管へ届け出る必要があります。 配偶者としての活動をしないまま6か月以上たつと、在留資格を取り消される対象になり得ます。 日本に住み続けたいときは、「定住者」などほかの在留資格への変更を考えます。
離婚・死別したら、14日以内に入管へ届け出ます
「日本人の配偶者等」の人は、離婚や死別の日から14日以内に、「配偶者に関する届出」をします。
入管法19条の16の決まりです。 入管の案内では、届出の方法は3つあります。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| オンライン | 電子届出システムで、24時間365日できる。はじめての人は利用者登録が必要 |
| 窓口 | 近くの地方出入国在留管理官署で、在留カードを見せて届出書を出す |
| 郵送 | 届出書と在留カードのコピーを、東京出入国在留管理局の届出受付担当へ送る |
届出は本人がします。 郵送のときは、封筒の表に赤い字で「届出書在中」と書きます。 受け付けたという連絡は来ないので、記録が残る方法で送るよう案内されています。
届出をしても、在留資格はすぐには変わりません
届出は、「離婚した」「夫が亡くなった」という事実を知らせる手続きです。 在留資格を変える申請とは別です。 日本に住み続けたいときは、このあとに説明する手続きを考えます。
6か月以上たつと、取り消しの対象になり得ます
配偶者としての活動を続けて6か月以上していないと、正当な理由がある場合を除き、在留資格を取り消される対象になり得ます。
入管法22条の4第1項7号
入管法では、「日本人の配偶者等」の人が、配偶者としての活動を続けて6か月以上していないとき、在留資格を取り消せると決めています。 離婚や死別のあとは、配偶者としての活動ができなくなります。 そのため、早めにこれからのことを考える必要があります。
取り消しの前に、変更の申請の機会があります
入管法22条の5では、この理由で取り消そうとするときは、在留資格の変更や永住許可の申請の機会を与えるよう配慮すると決めています。 入管(当時の法務省入国管理局)は、日本国籍の子どもを育てているなどの事情があれば、ほかの在留資格への変更が認められる場合があると説明しています。
在留期間が残っていても、早めに相談します
「日本人の配偶者等」は、日本人の配偶者という身分にもとづく在留資格です(入管法 別表第二)。 離婚・死別のあとは、その身分がなくなります。 在留カードの期限がまだ先でも、これからの在留資格について、早めに入管に相談してください。 更新の手続きそのものは「配偶者ビザの更新」で説明しています。
日本に住み続けたいときは、ほかの在留資格への変更を考えます
よく考えられるのは「定住者」への変更ですが、決まった基準はなく、一人ひとりの事情を合わせて判断されます。
「定住者」とは
「定住者」は、入管法の別表第二にある在留資格です。 法務大臣が特別な理由を考えて、一定の期間、日本に住むことを認める人のためのものです。 在留期間は、5年・3年・1年・6月、または法務大臣が決める期間(5年まで)です。 別表第二の在留資格なので、仕事の制限はありません。
入管が公開している事例
入管(当時の法務省入国管理局)は、「日本人の配偶者等」から「定住者」への変更が認められた例と、認められなかった例を公開しています(2012年7月作成、2017年3月改訂)。 認められた例には、次のような事情が書かれています。
- 日本人の子どもの親権者で、子どもを実際に育ててきた
- 夫からの家庭内暴力(DV)が原因で、結婚が事実上こわれていた
- 死別のあとに認められた例もある
- 介護や看護の仕事などで、一定の収入がある
認められた例の結婚期間は、約3年から約11年5か月でした。
認められなかった例には、次のような事情が書かれています。
- 有罪の判決を受けていた
- 一人で長い間、日本の外にいた
- 夫婦として一緒に住んでいた期間がとても短い(3か月未満など)
- 結婚の実体があったといえる期間が短かった(約1年3か月とされた例)
判断は「総合的」にされます
入管は、変更を認めるかどうかは、これからする活動、日本での生活の様子、日本にいる必要性などを合わせて判断するとしています。 公開されている事例に似ていても、結論がちがうこともあると書かれています。 「この条件なら必ず認められる」という基準は、公表されていません。
ほかの在留資格の可能性
在留資格の変更は、「定住者」だけではありません。 仕事や学校など、ほかの在留資格の条件に合えば、その在留資格への変更を申請することもできます。 どれが合うかは人によってちがうので、入管に相談してください。 配偶者ビザのときの働き方は「配偶者ビザで働ける仕事と時間」で説明しています。
DVで別居しているときは、まず安全を守ってください
夫からの暴力で避難している場合は、入管も「正当な理由」の例にあげています。一人でがまんせず、公的な窓口に相談してください。
入管の考え方
入管が公開している「取り消しをしない主な例」には、次のものがあります。
- 夫からの暴力(DV)のため、一時的に避難や保護が必要な場合
- 離婚調停や離婚訴訟の途中の場合
入管は、取り消すかどうかは一人ひとりの状況で判断し、この例だけに限らないとしています。 「家を出たら在留資格がなくなる」と思いこまず、まず安全を守ってください。
公的な相談窓口
| 窓口 | 番号 | 内容 |
|---|---|---|
| 警察(緊急) | 110 | いま危ないとき |
| DV相談ナビ | #8008 | 近くの配偶者暴力相談支援センターにつながる |
| DV相談+(プラス) | 0120-279-889 | 内閣府の相談窓口。電話は24時間。チャットは12時〜22時 |
| 外国人在留総合インフォメーションセンター | 0570-013904 | 在留資格の手続きの質問 |
内閣府男女共同参画局によると、配偶者暴力相談支援センターは、相談、カウンセリング、緊急時の安全の確保と一時保護、自立した生活のための情報提供などをしています。 「#8008」は、一部の固定電話やIP電話からはつながりません。その場合は、都道府県や市町村のセンターに直接電話します。 DV相談+のホームページでは、チャット相談は10か国語に対応していると案内されています。
子どもがいるときに考えること
日本国籍の子どもを育てていることは、入管が在留資格の変更で考える事情の一つにあげています。
生まれたときに父が日本人なら、子どもは日本国籍をもちます(国籍法2条)。 入管が公開している事例でも、日本人の子どもの親権者として子どもを育ててきたことが、認められた例の事情に入っています。 子どもの国籍のしくみは「国際結婚の子どもの国籍」で説明しています。
よくある質問
離婚したら、すぐに国へ帰らないといけませんか?
すぐに在留資格がなくなるわけではありません。 ただし、14日以内に入管へ届け出ます。 配偶者としての活動をしないまま6か月以上たつと、取り消しの対象になり得ます。 早めに入管に相談してください。
夫が亡くなりました。日本に住み続けられますか?
入管が公開している事例には、死別のあとに「定住者」への変更が認められた例もあります。 ただし、決まった基準はなく、一人ひとりの事情で判断されます。 まず14日以内に届出をして、入管に相談してください。
離婚の話し合い中で、まだ離婚していません。
入管は、離婚調停や離婚訴訟の途中の場合を、取り消しをしない主な例にあげています。 自分の状況がどうか、入管に相談してください。
夫の暴力がこわくて家を出ました。在留資格はどうなりますか?
DVのために避難している場合は、入管が「正当な理由」の例にあげています。 まず安全を守り、#8008やDV相談+(0120-279-889)に相談してください。 いま危ないときは110番です。
まとめ
- 離婚・死別したら、14日以内に入管へ「配偶者に関する届出」をする(オンライン・窓口・郵送)
- 配偶者としての活動をしないまま6か月以上たつと、正当な理由がある場合を除き、取り消しの対象になり得る
- 取り消しの前には、在留資格の変更や永住許可の申請の機会を与えるよう配慮される
- 日本に住み続けたいときは「定住者」などへの変更を考える。決まった基準はなく、総合的に判断される
- DVで避難している場合は「正当な理由」の例に入る。#8008、DV相談+、緊急は110
ここに書いたのは一般的な説明です。 あなたの事情によって、判断は大きく変わります。 最終的には、住んでいる場所を担当する出入国在留管理局で確認してください。
参考
確認日: 2026年10月25日
- 出入国在留管理庁「配偶者に関する届出」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00016.html
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(19条の16、20条、22条の4、22条の5、別表第二) https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319
- 法務省入国管理局「配偶者の身分を有する者としての活動を行わないことに正当な理由がある場合等在留資格の取消しを行わない具体例について」 https://www.moj.go.jp/isa/content/920000161.pdf
- 出入国在留管理庁「『日本人の配偶者等』又は『永住者の配偶者等』から『定住者』への在留資格変更許可が認められた事例及び認められなかった事例について」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00057.html
- 同上(日本語版PDF) https://www.moj.go.jp/isa/content/930002823.pdf
- 出入国在留管理庁「在留資格『定住者』」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/longtermresident.html
- 内閣府男女共同参画局「配偶者暴力相談支援センター」 https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.html
- 内閣府「DV相談+(プラス)」 https://soudanplus.jp/
- 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」(外国人在留総合インフォメーションセンターの番号) https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html
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